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魔都夜曲@サンケイホールブリーゼ


マキノノゾミは、やはりお茶の間向きなのでしょうか。連ドラやその他もろもろの素晴らしいドラマの脚本、演出があるのでしょうけど、青年座の舞台に書き下ろした脚本を見ても、実在の人物を好きに今風(?)に変形させてしまうようです。まあ、ファンタジーということでいいのかもしれません。

音楽劇ですが、それなら上海バンスキングの方が上だと思えます。しかしながら、舞台上の上海租界のクラブのバンドは本物のジャズバンドで、かなり良かったしジャズ歌手の秋夢乃さんはすごくうまかった。元劇団四季の秋夢子さんなんですね。アリエルをやっていたらしい。(私の見たアリエルじゃないけど)中国出身だから、普通に中国語の歌も歌われていました。

第2次大戦前、戦中の上海を描いた作品はいろいろあります。

諸外国の思惑や、日本軍の横暴や、国民軍、中国の運動家たち、その混沌と仇花のようなジャズ文化がよく一緒に描かれます。横光利一の『上海』を学生時代に読んでいたので、共産党スパイの中国人女性と軍人では無い日本人の恋愛とかそういうのは、私の中ではこれが原型です。当たり前だけど、大体、主人公の日本人は、日本政府のやっていることに意味がわからず(誰もわかっていなかったかも)結局自分の住んでいる上海の中国人たちに感情移入していくっていうパターンです。

そして、中国人女性か、租界の日本人ではない何かヤバイ人を好きになって、悲劇的な結末になる感じ。

私が同じモチーフで好きなのは、森川久美の少女漫画、『蘇州夜曲』と『南京路に花吹雪』。これの主人公、本郷さんは、日本人の良心を象徴していて、まあ、この魔都夜曲の藤木直人と根本は似ています。

本気で日中戦争を止められると思って動こうとしている。こんな人たちはいたかもしれません。

でも、憲兵隊か排日運動家に殺されてたでしょう。

それにしても、このお芝居はアマアマだ~~~~~

まだ宝塚の『BUND/NEON上海』の方がダークで裏社会を描いているから怖い。

劇団四季の『李香蘭』や『異国の丘』は、かなり真面目に描かれていた気がします。

藤木直人がのんきな御曹司なんだけど、それは感じが出てました。マイコちゃんは独特な台詞回しなんだけど、そのくせが取れるとなおいいような気がします。

さて、私のお目当ての小西遼生くんは、カタコトの日本語をしゃべる中国人。2007年の私が小西くんに出会ったミュージカルThe Light in the Piazza でも外人(?)で、カタコトをしゃべっていたから、ちょっとそれを彷彿とさせました。

それにしても、川島芳子を演じた壮一帆さん、きれいでした~ 男装の麗人ということばがぴったり。でも川島芳子は精神を病んでいて、とんでもない人物だったわけですから、ちょっと能天気に描きすぎですね。

甘粕正彦もなんかいい人で、満州映画協会理事長として現れて李香蘭を伴ってます。

蘇州夜曲はやっぱりノスタルジックで名曲でした。

でも、満映というのは悪名高き軍部独裁のプロパガンダに使われていいイメージが無いのに、若い人達にこんなに平和な感じに見せちゃっていいのでしょうか。

日本人はいまだに日中戦争のことをちゃんと考えたり反省していないって、中国に言われてもあまり反論できない気もします。

ま、それはそれとして、藤木くんと小西くんが素敵だったし、橋本さとしさんは相変わらず面白いから良かったんだけど、小西君の歌が無さすぎ~~~~~~と思いました。

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