top of page

『命売ります』(原作三島由紀夫)@森ノ宮ピロティホール

レトロモダンな舞台だった。

三島由紀夫らしさがふんだんに感じられた。特に命売りますと広告に出した主人公の厭世的なのだけど、妙に明るく、悩んでるのか悩みが無いのかわからない様子。自分が嫌いなのはよくわかるが、ボディビルをして外側だけ武装してみるあかんたれの男子が、三島そのものだった。

面白いのはこの主人公ではなく、取り巻く女たち。主人公は妙にモテるので、変な女達がくっついてくる。樹里咲穂さんは歌もあってちょいダンスもあるけど、あんなにセクシーな女性を演じられるなんて、宝塚時代からは考えられないので、びっくり!

ある家の離れに転がりこんでそこの娘とくっつくのだが、彼女のお母さんが平田敦子さんという太ってる女優さんですごーく変で可笑しい。セリフは三島の小説の原作と違う部分も多いのだろうか?やりとりがある種現代的に乾いてて、昭和らしさもあるけど、今風に笑える。

主人公は最初の目論見と違って全然死ねないし、コメディとして充分完成しているのだけど、舞台装置は正直凝り過ぎだと思った。

いかだのようにたくさんの箱の上を八双飛びしながら演技するので、年配の俳優さん達は無駄に疲れてそうだった。

とはいえさすがにもと状況劇場なんていうアングラ出身の不破万作さんも温水さんもおじいちゃんとは思えないシャープで面白い演技だった。

脚色、演出担当のノゾエ征爾も警官などの役で舞台に出ているのだが、この人もとぼけててすごく可笑しい演技だった。

同じアパートに住んでいる朝鮮人が!・・・・とか、その他放送禁止用語がけっこう出てくるので、「原作を尊重して使用しています」の張り紙がしてあった。それにしても、謎のアジアじんたちがよくわからない秘密結社みたいなのを持っているのが逆にリアルな感じで面白かった。

そういう昭和40年頃の日本の他のアジア諸国におごった感覚(というか三島自体が古臭いそういう右翼的感覚だったのか)も非常にばかばかしくて、それを笑いとばせればいいけど、ちょっと微妙な感じがした。

再演しなくていいなあ、この芝居などと思ってしまった。

[if !supportLineBreakNewLine] [endif]

[if !supportLineBreakNewLine] [endif]

​Recent post

bottom of page