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『五月の青春』

光州事件を背景に描いたラブストーリーです。素晴らしいドラマでした。イ・ガンという短編ドラマで腕をみがいた脚本家が、ドーンと大作を発表した感じでしょうか。


韓国は、学生運動と1980年代の軍部の暴走をきちんと共通認識、反省というのができていて偉いなあと思います。なぜ光州事件が起きたのかこのドラマではそこまで詳しくは描かれていません。軍や政府の上層部が出て来るわけではないので。ただし、主人公の医学部学生のお父さん(オ・マンソクさん、最近こういう怖い役多いです)が全羅南道の学生運動を取り締まっている警察で、光州の警察もおそらく混乱していたであろうというのがうかがえます。


ビラを配りメガホンで演説して運動している学生は日本の大学生とそっくり。それに光州の市民たちも加わっていくのがすごいです。


しかし、このドラマはそういうヒリヒリした緊張した時代の中でも甘くロマンチックなまさに「青春」がしっかりあったというところがいいわけで、主人公二人は初めての主演(たぶん)でフレッシュながらも難しい演技をこなしています。イ・ドヒョン君、顔がちょっと苦手なイケメン。『刑務所のルールブック』に始まり、『偉大なショー』『怪物』などたくさんの主人公の子役(と言っても高校生くらい)をやってきて、『ホテル・デルーナ』でIUの昔の恋人役でブレイクしたようです。あまり出てこなかったけど、なんかかっこよかった。『18アゲイン』で大きな役をつかみ、このドラマで初主人公というわけです。身長も高いし、ちょっとチュ・ジフンの若い時みたいな雰囲気です。


コ・ミンシちゃんは、全羅南道のなまりがネイティブな感じなので、だから選ばれたのかなあと思いますが、とにかく素敵な看護師さん。智異山(チリサン)でも素晴らしい演技でしたが、今まで不良っぽい脇役が多かったので、真面目な役で最初へ~~~と思いました。


この二人にからむ男女も最近ライジングしてきた人たち。『チェックメイト』『椿の花咲く頃』で存在感を示した、イ・サンイと『熱血司祭』でブレイクしたクム・セロクちゃん。セロクちゃんは、それまでも小さな役でも光っていましたが、今回の信念ある学生の役も良かったです。


とまさにキラキラの若者たちが軍の銃撃に倒れていくのですが、軍隊の中にも当然若者がいて、「北朝鮮の共産主義者が韓国の学生を先導している」という話をみんな信じています。情報があふれすぎの現代も怖いですが、この1980年という時代はまだまだ情報が乏しくて、いろんな誤解が飛び交っています。勘違い、おそれ、不安、偏見、格差などがこんなとんでもない事件になっていったというのがなかなか理解しにくいですが、とりあえず、ラブストーリーは、レトロで

少しコミカルな所も息抜きでありますし、良かったです。

9点です。

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