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『ライフ・オン・マーズ』

イギリスBBCのドラマのリメイク。アガサ・クリスティ、シャーロック・ホームズの国ですから、イギリスの本格推理系ドラマは、面白いものが多いので、ものすごく期待してしまいました。

原題ですが、火星での生活・・・30年前にタイムスリップしてしまう刑事の、携帯も無い、科学捜査もほとんどない状態を表しているようです。

チョン・ギョンホ君、細くて筋肉があまりなくて韓国俳優らしくない、優男さんですが、コメディもこなせるし、結構好きです。犯人に銃で頭を撃たれて意識不明で病院に運ばれて、目をさますと30年前の1988年、つまりソウルオリンピックの年だったという出だしです。

日本ではまだバブルの時代という感じだったと思いますが、このドラマの舞台、韓国の地方都市、インソンは、日本の1970年代のような感じです。車や家や食堂や暮らしがいい意味で質素でいい感じなのですが、それ以上に警察の捜査のしかた、女性への接し方(セクハラという概念が無いため)がものすごく違ってそれが面白い。

タイムスリップものは、時代の違いを楽しむのも基本ですが、やはり、主人公の自分探しや刑事ものの場合は、犯人探し、動機探し、なぜ主人公がタイムスリップを起こしたかが軸になってきます。

そういう意味で、このドラマは、基本的な内容はすべて押さえていて、よくできたタイムスリップものと言えるとは思うのですが、彼にとってタイムスリップは何だったのかという所がちょっと拍子抜けという感じです。『トンネル』は、この話と反対で、昔の刑事が現在にやってきて、その捜査理念に感心して驚く(犯人を脅したり殴ったりして自白させて事件を解決するのが当たり前と思っているから)というパターンでしたが、ここでは、ギョンホ君が強力班のみんなに少しずつ影響を与えて行くという感じです。『トンネル』は、なぜ刑事が未来にやってきたか、自分探しはどういうことか、もとに戻るとはどういう事を指すかというのが、すごく説得力があって、それが『トンネル』を名作にしています。

タイムスリップなんて、荒唐無稽なのだけど、物語の根幹がしっかり描かれていると感動するのですね。

そんなわけで、ちょっと足りないところの多いドラマなのですが、最後も???これで最後?という感じです。もしかしたらシーズン2があるのかしら。あるといいなと思います。

なぜなら、このドラマの魅力は、30年前の刑事の仲間だからです。すぐ手が出て暴力的だし、庶民的なのでギョンホ君はとにかくこの状況が嫌で、もどりた~いと思っているのですが(まあ、こういう冒頭が定石ですが)係長を含め、全員がとにかく愛すべきキャラです。婦人警官がいて、ミス・ユンというのですが、もう呼び方がセクハラですね(笑)コ・アソンちゃんが演じています。すごくうまい!

彼女は、『自己発光オフィス』に続き2回目のヒロインです。コメディ向きですね。今で言うプロファイラーのように大学の心理学科卒ということで、どんどん意見を言うようになっていくのが面白いです。最初はお茶くみしかしてないのですが。

ということで、8点です。

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